仮に。
周囲がいい人ばかりで
志の高い努力家ばかりやったら、
ほとんどの人は素直に「朱」に染まって
周囲と同じようなプライドの高い人間になるよな?
逆に、
みんなが泥まみれで利己的で、
常に抜き差しならない人間関係で、
その真中にありながらも尚
高潔な信念を保ち続ける事ができる人間ってのは、
泣けるぐらいに少ないよな。
泥まみれな世界におったら、
さっさとプライドを捨てて周囲に染まった方が
はるかに楽だもの。
でもそれは、錯覚なんやけどね。
さっさとプライドを捨てて、
何年・何十年たってから後悔している人が
どれだけ多いか。
プライドをドブに捨てる事は、
他人からの信用をドブに捨てている事と同じ。
捨てるのは あまりにも簡単、
手に入れるのは さても困難。
でも、たくさんの人が
今日も「泥」に染まっていくんやろな。
関西を襲った
豚インフルエンザの経済的打撃については
誰も責める事ができんけど、
たくさんの人にとって
悪い意味でプライドを捨てるキッカケになったと思う。
それで
仮にお金は取り戻せたとしても、
信用はなかなか取り戻せん。
後悔するのは
ずっと先の事なんやろう。
若者ばかりで仕事をしている人達を見ていると、
特にそういう傾向が強く感じられて
色んな意味で危うさを覚える。
これが、
団塊の世代になると傾向がだいぶ違う感じがする。
たぶん彼等は、長らく競争に揉まれて
酸いも甘いも腐るほど見てきた人達のはずなのに、
意外に高潔で信念が強く、ロマンチストな人が多い。
ある意味、まったく穢(けが)れていない。
正確にいうと、
『穢れないための手段を知っている』
という感じがする。
そういう風に、
あえてプライドを捨てずに生き続ける
信念の強い人の割合が、
私の同世代よりかなり多いように見える。
私らの世代が
日本の経済や政治を
本格的にひっぱっていく時代になったら、
この国はどうなるんやろう。